2026年8月21日、関東財務局宇都宮財務事務所と日本銀行が、令和8年7月17日から18日の大雨で被災した栃木県内の事業者・個人に対し、預貯金取扱金融機関等に金融上の措置を講じるよう要請した。既存融資の返済猶予や書類簡素化など、資金繰りに直結する内容を含む。

何が要請されたか(2026年8月21日時点)

関東財務局宇都宮財務事務所長と日本銀行金融機構局長の連名で、令和8年7月17日から18日にかけての大雨により災害救助法が適用された栃木県内の被災者等に対し、預貯金取扱金融機関、証券会社等、生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者、電子債権記録機関に金融上の措置を講じるよう要請したことが公表された。今後、災害救助法の適用地域が追加された場合も同様の対応を求めるとしている点は、対象地域が拡大しうることを示唆している。

中小企業の資金繰りに関わる要請内容

預貯金取扱金融機関への要請のうち、事業者の資金繰りに直接関わるのは以下の項目である。

  • 災害等の状況、応急資金の需要等を勘案し、融資相談所の開設、融資審査に際して提出書類を必要最小限にする等の手続き簡便化、融資の迅速化、既存融資にかかる返済猶予等の貸付条件の変更等、適時的確な措置を講ずること
  • 今回の災害等による障害のため支払期日が経過した手形について、関係金融機関と適宜話し合いのうえ取立ができることとすること
  • 災害等のため支払いができない手形・小切手について、不渡報告への掲載及び取引停止処分に対する配慮を行うこと。電子記録債権の取引停止処分又は利用契約の解除等についても同様に配慮すること
  • 定期預金・定期積金等の期限前払戻し、及び当該預金等を担保とする貸付にも応ずること

これらは要請であり、個別の金利水準や返済猶予期間、審査基準の緩和幅までは本要請文には記載がない。実際の対応は取引金融機関ごとの判断となる点に留意したい。

自然災害債務整理ガイドラインの位置づけ

要請文には「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の手続きや利用による効果等の説明を含め、同ガイドラインの利用に係る相談に適切に応ずることが明記されている。既存の借入が過大で事業継続が難しいと感じる事業者は、返済猶予の交渉だけでなく、このガイドラインの利用可否についても取引金融機関に相談する余地がある旨、要請上は位置づけられている。ただし本要請文はガイドラインの適用要件や効果の詳細までは記載していないため、具体的な利用条件は別途金融機関や専門家に確認する必要がある。

罹災証明書がなくても手続きは進められる

罹災証明書を求めている手続きについても、市町村における交付状況等を勘案し、現況の写真の提出など他の手段による被災状況の確認や、罹災証明書の後日提出を認めるなど便宜を考慮した取扱いとすることが盛り込まれている。証明書の発行を待ってから融資相談や条件変更の交渉に着手する必要はなく、被災状況を示せる資料があれば先行して相談を開始できる余地がある点は、資金繰りが逼迫している事業者にとって実務上の意味を持つ。

実務上のポイント

栃木県内で被災した事業者は、まず取引金融機関の窓口または本要請文に記載の相談窓口に連絡し、(1)既存融資の返済条件変更の可否、(2)新規融資の書類簡素化・審査迅速化の対象になるか、(3)自然災害債務整理ガイドラインの利用相談、の3点を具体的に確認するとよい。罹災証明書の発行を待つ必要はなく、被害状況を示す写真等があれば先に相談を進められる。要請文には金利優遇や具体的な猶予期間の数値は記載がないため、条件は個別交渉で確認する必要がある。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の融資判断・税務判断・投資判断を示すものではありません。制度内容は改正される場合があります。実行にあたっては必ず一次情報をご確認のうえ、金融機関または専門家にご相談ください。