金融庁は2026年8月31日、「貸金業法施行規則の一部を改正する内閣府令」を公布・施行した。戸籍法施行規則の改正を受けた技術的な対応が中心で、中小企業の資金調達実務に直接影響する内容ではないが、貸金業関連規制の動きとして押さえておきたい。

何が改正されたか

金融庁は令和8年(2026年)8月31日付で「貸金業法施行規則の一部を改正する内閣府令」を公布・施行した。改正の直接のきっかけは、2025年5月26日に施行された戸籍法施行規則の改正である。この改正により、特定の地域の法を本国法とする者が戸籍の届出をする際、当該地域を届書及び戸籍に記載できるようになった。

これに合わせて、日本国籍を有しない者について、貸金業務取扱主任者の登録簿に当該地域を含めた国籍等を登録できるよう、貸金業法施行規則の規定を整備するのが今回の改正の内容である。

パブリックコメントの経緯

この改正案は2026年7月10日から8月10日にかけてパブリックコメントに付され、7件の意見が寄せられた。金融庁は意見の概要と、それに対する考え方を別紙として公表している。なお、本件と直接関係しないコメントも寄せられたが、それらは今後の金融行政の参考とする旨が示されている。

意見募集から1カ月弱という短期間で公布・施行に至っており、内容が戸籍実務上の記載方法に関する技術的な整備にとどまることがうかがえる。

資金調達・融資実務への影響をどう見るか

今回の改正は、貸金業者に所属する貸金業務取扱主任者の登録簿上の記載事項(国籍等の記載方法)を整備するものであり、貸金業者と借入企業との間の融資条件、審査基準、契約手続きそのものを変更する内容ではない。中小企業やスタートアップが銀行・貸金業者との間で行う資金調達交渉に、直接的な影響を与える規定ではないと理解してよい。

ただし、貸金業法施行規則は貸金業者の登録・監督の枠組みを定める基礎的な省令であり、今後も細部の改正が継続的に行われる分野である。ノンバンクや貸金業登録を受けた事業者から借入を行っている企業は、取引先の貸金業者が主任者登録や監督体制の面で継続的にコンプライアンス対応を行っているかを確認する材料の一つとして、こうした改正の動きを把握しておく意味はある。

今後の留意点

本改正自体は借入企業側の実務手続きを変えるものではないため、決算書や契約書の記載を見直す必要は生じない。一方で、貸金業法・銀行法周辺の府令改正は年に複数回行われており、融資契約や保証契約の様式・記載事項に影響する改正が今後公表される可能性はある。取引金融機関や貸金業者から契約書式の変更連絡があった場合は、その根拠となる府令改正の内容を確認しておくと、条項変更の背景を理解しやすい。

実務上のポイント

本改正は貸金業務取扱主任者の登録事項に関する技術的整備であり、借入企業側で対応すべき手続きは発生しない。取引先の貸金業者から契約様式の変更連絡があった場合に、その根拠となる制度改正を確認する習慣を持っておくとよい。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の融資判断・税務判断・投資判断を示すものではありません。制度内容は改正される場合があります。実行にあたっては必ず一次情報をご確認のうえ、金融機関または専門家にご相談ください。