令和8年8月27日からの大雨により災害救助法が適用された福井県内の被災者等に対し、北陸財務局福井財務事務所と日本銀行金沢支店が金融機関等に金融上の措置を要請した。既存融資の条件変更や書類簡便化など、資金繰りに直結する内容を確認する。
何が要請されたか
2026年8月31日付で、北陸財務局福井財務事務所長と日本銀行金沢支店長が連名で、預貯金取扱金融機関、証券会社等、生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者及び電子債権記録機関に対し、災害救助法が適用された福井県内の被災者等への金融上の措置を講ずるよう要請した。今後、災害救助法の適用地域が追加された場合も同様の対応を求めるとしている。
要請では、被災者等の被災状況等に応じたきめ細かく弾力的・迅速な対応が求められており、実施店舗での店頭掲示や周知徹底も併せて要請されている。
融資・返済に関する措置
預貯金取扱金融機関への要請のうち、資金繰りに直接関わる内容は次の通りである。
- 災害等の状況、応急資金の需要等を勘案し、融資相談所の開設、融資審査に際して提出書類を必要最小限にする等の手続きの簡便化、融資の迅速化を図ること
- 既存融資にかかる返済猶予等の貸付条件の変更等、災害等の影響を受けている顧客の便宜を考慮した適時的確な措置を講ずること
- 定期預金・定期積金等の期限前払戻し、及び当該預金等を担保とする貸付にも応ずること
いずれも「応ずること」「配慮すること」という要請であり、個別の金利や返済条件変更の内容が一律に定められているわけではない。取引金融機関との個別相談が前提となる。
手形・電子記録債権・罹災証明書の取扱い
支払期日が経過した手形については、関係金融機関と適宜話し合いのうえ取立ができることとするよう要請されている。また、災害等のため支払いができない手形・小切手について、不渡報告への掲載及び取引停止処分に対する配慮、電子記録債権の取引停止処分又は利用契約の解除等についても同様の配慮を行うことが求められている(電子債権記録機関に対しても同様の要請がある)。
罹災証明書を求めている手続きについても、市町村における交付状況等を勘案し、現況の写真の提出など他の手段による被災状況の確認や、罹災証明書の後日提出を認める等、被災者等の便宜を考慮した取扱いとするよう要請されている。証明書の発行を待たずに金融機関へ相談できる余地があるという点は、実務上押さえておきたい。
自然災害債務整理ガイドラインの案内
要請には、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の手続き、利用による効果等の説明を含め、同ガイドラインの利用に係る相談に適切に応ずることも含まれている。既存の借入が事業継続の負担となっている場合、金融機関側から同ガイドラインの案内を受けられる可能性がある点は、資金繰りが厳しい事業者にとって選択肢の一つになり得る。
証券会社等、生命保険会社・損害保険会社・少額短期保険業者に対しても、それぞれ払戻しの弾力化や保険金支払いの迅速化、保険料払込猶予期間の延長等が要請されている。
実務上のポイント
福井県内で被災した事業者は、まず取引金融機関に罹災状況を伝え、既存融資の返済猶予や条件変更の相談を早めに行うことが実務上の第一歩となる。罹災証明書の発行を待たずに写真等で被災状況を示せる場合があるため、証明書取得の遅れを理由に相談を先延ばしにする必要はない。手形や電子記録債権の決済に影響が出ている場合も、取引停止処分等への配慮が要請されている旨を伝えたうえで金融機関と協議したい。既存借入の負担が大きい場合は、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインの利用可否について、取引金融機関に確認することも検討に値する。
出典
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の融資判断・税務判断・投資判断を示すものではありません。制度内容は改正される場合があります。実行にあたっては必ず一次情報をご確認のうえ、金融機関または専門家にご相談ください。