日本銀行が2026年8月31日に公表した「貸出約定平均金利の推移」の2026年7月分では、都市銀行・地方銀行・第二地方銀行・信用金庫の金利水準が業態ごとに数値で並ぶ。自社の借入金利がどの水準にあるかを確認する材料として、実務目線で読み方を整理する。
何が公表されたか
日本銀行金融機構局は2026年8月31日、「貸出約定平均金利の推移(2026年7月)」を公表した。集計対象は国内銀行(都市銀行・地方銀行・第二地方銀行)と信用金庫で、月中に実行された新規貸出(書換継続を含む)の平均金利、および月末時点で残高のある全ての貸出の平均金利(ストック)の2種類が示されている。いずれも短期(1年未満)・長期(1年以上)・総合の区分で公表される。
2026年8月時点で確認できる直近6か月(2026年2月〜7月)の推移をもとに、業態間の水準差と時系列の動きを整理する。
新規貸出の金利:業態間の差は明確、月次のぶれは大きい
新規貸出(総合)の2026年7月の平均金利は、国内銀行合計が1.706%、うち都市銀行1.778%、地方銀行1.752%、第二地方銀行1.798%、信用金庫2.194%となっている。信用金庫が国内銀行合計より0.5ポイント前後高い水準にあること自体は6か月を通じて一貫している。
一方で、月次の変動幅は業態によって大きく異なる。都市銀行の総合金利は2026年2月の1.586%から3月に2.007%まで跳ね上がり、4月に1.796%へ戻るなど、月ごとの振れが目立つ。これは新規貸出が月内に実行された案件の平均であるため、大口案件の有無や案件の性質によって数値が動きやすいことによる。これに対し地方銀行は2月1.505%から7月1.752%まで、比較的なだらかに推移している。
長期の新規貸出に限ると、都市銀行は2026年5月に2.546%まで上昇し、7月は2.014%に落ち着いている。長期資金の調達を検討する際は、単月の水準だけで「高い」「安い」と判断せず、直近数か月の幅を確認したほうが実態に近い。
ストック(残高)金利:2月から7月にかけて緩やかな上昇が続く
既存の貸出残高全体の平均金利を示すストックの総合ベースでは、国内銀行合計が2026年2月の1.263%から7月には1.483%まで、6か月連続で上昇している。都市銀行は1.273%→1.534%、地方銀行は1.213%→1.400%、第二地方銀行は1.304%→1.477%と、いずれも同じ方向で緩やかに切り上がっている。信用金庫も1.683%→1.829%と上昇が続く。
ストックは新規実行分と既存の固定金利・変動金利契約が混在した平均であるため、新規の水準ほど月次のぶれは大きくない。この6か月間で一貫して上昇方向にあるという事実は、既存借入の多くが変動金利連動である場合、実際の支払金利も緩やかに上昇している可能性を示唆する。長期のストック金利も国内銀行合計で2月1.190%から7月1.397%へ、同様の上昇傾向にある。
実務上のポイント
自社の借入金利を評価する際は、まず自社の業態区分(都市銀行・地方銀行・第二地方銀行・信用金庫のいずれと取引しているか)に対応する数値と比較する。新規実行分の交渉では、単月の統計値ではなく直近数か月の幅(例えば都市銀行の長期新規は2026年2〜7月で1.739〜2.546%の範囲)を踏まえ、自社の提示条件がどのあたりに位置するかを確認する。既存借入がストック金利と同様の上昇傾向をたどっている場合は、金利見直しのタイミングで固定化や条件交渉を検討する材料になる。ただし本統計は業態全体の平均であり、個別の信用力や担保条件を反映したものではない点には留意したい。
出典
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の融資判断・税務判断・投資判断を示すものではありません。制度内容は改正される場合があります。実行にあたっては必ず一次情報をご確認のうえ、金融機関または専門家にご相談ください。