企業価値担保権は、不動産などの個別資産ではなく事業全体の価値を担保として融資を受けられる新しい制度です。2026年8月時点で金融庁が公表している情報をもとに、制度の枠組みと、現時点でまだ具体的な内容が明らかになっていない部分を整理します。

企業価値担保権の位置づけ

企業価値担保権は、事業性融資の推進等に関する法律(以下、事業性融資推進法)に基づき創設された担保制度です。金融庁は本制度を「事業の将来性に基づく融資を後押しする新しい制度」と説明しています。従来の不動産担保や個人保証に依存した融資とは異なり、事業そのものの価値(将来のキャッシュフローを含む事業全体)を担保の対象とする点が特徴とされています。

制度の実施にあたっては、信託の仕組みが用いられることが想定されており、金融庁は「企業価値担保権信託契約等の書式例」を公表しています。また、信託会社等に関する総合的な監督指針は2026年5月25日適用の内容が案内されており、この時期を前後して制度運用の体制整備が進められてきたことがうかがえます。

法的根拠と施行の時期(2026年8月時点)

企業価値担保権は事業性融資推進法を根拠法とする制度です。金融庁が公表している寄稿・インタビュー記事の時系列からは、2026年1月時点で「施行目前」、同年3月時点で「制度開始を控えて」という記述があり、2026年内に制度が施行されたことが読み取れます。ただし、施行日そのものや経過措置の詳細は、今回参照した金融庁ページの本文には明記されていません。正確な施行日・適用範囲を確認する際は、金融庁が公表する「制度の概要」ページや告示・ガイドラインの一次情報を直接確認する必要があります。

信用保証制度との関係、登記の必要性

金融庁は「企業価値担保権制度と信用保証制度の利用に関する留意事項」を別途公表しており、企業価値担保権と信用保証制度(信用保証協会による保証)を組み合わせて利用する場合には、一定の留意点があることが示唆されています。ただし、その具体的な内容(併用の可否や条件など)は今回参照したページの本文には記載がなく、留意事項の該当資料を個別に確認する必要があります。

また、企業価値担保権を設定する際には登記が必要とされており、申請の方法や様式は法務局のウェブサイトで案内されています。担保設定の実務は、通常の不動産登記とは異なる手続きになると考えられますが、具体的な申請フローは法務局側の資料を確認することになります。

現時点の公開情報からは確認できない点

今回参照した金融庁ページは、企業価値担保権に関する各種資料(制度の概要、チラシ、FAQ、業種別の着眼点、活用事例集など)へのリンクを集めたポータルであり、対象となる事業者の具体的な要件、融資極度額や担保順位の考え方、既存の担保権との調整方法、労働者保護に関する具体的な規定内容などは、このページの本文だけでは確認できません。

制度を実際に検討する場合は、リンク先の「制度の概要」「FAQ」「事業性融資推進法等ガイドライン」といった一次資料を個別に確認し、自社の状況に照らして金融機関や専門家に相談することが必要です。

相談窓口

企業価値担保権に関する行政上の問い合わせ窓口は、金融庁監督局総務課事業性融資推進室が所管しています。金融行政に関する一般的な質問は金融サービス利用者相談室(電話受付:平日10時00分〜17時00分、0570-016811)でも受け付けています。個別の融資可否や条件については、取引金融機関や顧問の税理士・弁護士など専門家への相談が前提となります。

実務上のポイント

企業価値担保権は事業全体を担保にできる点で注目される制度ですが、今回参照した金融庁のポータルページは資料への入り口(目次)であり、対象事業者の要件や融資条件、信用保証制度との併用の具体的な扱いなど、実務判断に必要な詳細は記載されていません。制度の活用を検討する際は、「制度の概要」「FAQ」「事業性融資推進法等ガイドライン」など個別資料を取り寄せたうえで、取引金融機関や専門家に相談することをおすすめします。融資や担保設定の可否は個別の審査によって判断されるものであり、本記事の内容だけで利用の適否を判断することはできません。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の融資判断・税務判断・投資判断を示すものではありません。制度内容は改正される場合があります。実行にあたっては必ず一次情報をご確認のうえ、金融機関または専門家にご相談ください。