令和8年8月13日からの大雨により災害救助法が適用された千葉県内の被災者等に対し、関東財務局千葉財務事務所と日本銀行が金融機関に金融上の措置を要請した。既存融資の条件変更や罹災証明書の代替対応など、資金繰りに直結する項目を整理する。

何が要請されたか

2026年8月14日付で、関東財務局千葉財務事務所長と日本銀行金融機構局長は、令和8年8月13日からの大雨に伴う災害等(災害のおそれを含む)により災害救助法が適用された千葉県内の被災者等に対し、預貯金取扱金融機関、証券会社等、生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者及び電子債権記録機関に、状況に応じた金融上の措置を講ずるよう要請した。今後、災害救助法の適用地域が追加された場合も同様の対応が要請されている。

融資・既存債務に関わる項目

預貯金取扱金融機関への要請のうち、資金調達・負債管理に直結するのは以下の項目である。

  • 災害等の状況、応急資金の需要等を勘案し、融資相談所の開設、融資審査に際して提出書類を必要最小限にする等の手続きの簡便化、融資の迅速化、既存融資にかかる返済猶予等の貸付条件の変更等、適時的確な措置を講ずること
  • 支払期日が経過した手形について、関係金融機関と適宜話し合いのうえ取立ができることとすること
  • 災害等のため支払いができない手形・小切手について、不渡報告への掲載及び取引停止処分に対する配慮を行うこと(電子記録債権の取引停止処分・利用契約解除等についても同様の配慮)
  • 定期預金・定期積金等の期限前払戻し、及び当該預金等を担保とする貸付にも応ずること

「既存融資にかかる返済猶予等の貸付条件の変更」は、資金繰りに窮した際に取引金融機関へ相談する根拠となる項目である。ただし、本要請はあくまで「配慮を求める」ものであり、条件変更が必ず認められることを意味するものではない点は押さえておきたい。

自然災害債務整理ガイドラインと罹災証明書の扱い

本要請には「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の手続き、利用による効果等の説明を含め、同ガイドラインの利用に係る相談に適切に応ずることが盛り込まれている。既存の借入れの整理を検討する事業者は、まず取引金融機関にこのガイドラインについて説明を求めることができる。

また、罹災証明書を求めている手続きについても、市町村における交付状況等を勘案し、現況の写真の提出など他の手段による被災状況の確認や罹災証明書の後日提出を認める等、被災者等の便宜を考慮した取扱いとすることが要請されている。罹災証明書の発行に時間を要する場合でも、これを理由に手続きが止まるとは限らない。

実務上の確認事項

本要請は預貯金取扱金融機関のほか、証券会社等、生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険業者、電子債権記録機関にも及ぶ。証券会社等には預かり有価証券等の売却・解約代金の即日払いへの対応、保険会社等には保険金支払いの迅速化や保険料払込猶予期間の延長が要請されている。事業者が保有する有価証券や保険契約についても、同様の配慮を求められる可能性がある。

なお、これらの措置に関する周知は、実施店舗での店頭掲示や新聞・インターネットのホームページ掲載を通じて行われることになっている。取引金融機関のホームページ等で、自社が該当する措置の詳細を確認することが実務上の第一歩となる。

実務上のポイント

千葉県内で被災した事業者は、まず取引金融機関に対し「既存融資の返済猶予等の貸付条件変更」について相談できる状況にあることを確認する。罹災証明書の発行が遅れている場合は、現況写真等の代替手段や後日提出が認められる可能性があるため、金融機関に確認のうえ手続きを止めないことが望ましい。債務整理を検討する場合は「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」について金融機関から説明を受けることができる。

出典

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の融資判断・税務判断・投資判断を示すものではありません。制度内容は改正される場合があります。実行にあたっては必ず一次情報をご確認のうえ、金融機関または専門家にご相談ください。